弊社は平成5年より鳥居薬品㈱より承継を受けた硫酸マグネシウム製剤「マグネゾール」を製造販売してきました。
本剤は「子癇」(重篤な妊娠高血圧症候群で、痙攣発作を伴うもの)に使用されてきましたが、近年、切迫早産に使用されるようになり、日本産科婦人科学会ならびに日本産婦人科医会からの強い要請を受けて、切迫早産の適応拡大に取り組んできました。
以来、十二年の歳月を経て、この度1月23日 新効能・新用量医薬品として、販売名「マグセント注100mL」が承認されました。
なお、販売は薬価収載を経て、本年5月中旬以降を予定しており、これ以後マグセント注100mLは、切迫早産専用薬となり、マグネゾールは、子癇専用薬となります。
昨年、新生児の出生数は遂に110万人を下回り、我国の将来に大きな問題となっています。
出生数は低下傾向ですが、早産・流産の発生率は徐々に上昇傾向にあります。早産児の抱える問題として、
1.医療費の増加
2.出生予後の障害
が指摘されています。
近年、医療体制の整備、技術の進展により、日本の早産児の生存率は飛躍的に向上している一方で、早産児の未熟性のために医療費は高額となっています。リスクのない新生児の場合、分娩費以外の費用は数万円程度ですが、27週未満で出生した早産児の場合500万円以上必要とし、27週以降35週未満で出生した早産児の場合は100万円以上必要と言われています。
また、NICU(新生児集中医療施設)で救命できても、早産児、特に超低出生体重児(1,000g未満)は重篤な障害(脳性麻痺、発達障害、視聴覚障害等)を残す可能性も少なくありません。
周産期管理により、在胎週数を延長し、胎児の発育を促すことで、早産児に関わる医療費の削減額は数十億円に達するという報告もなされております。
マグセント注100mLは、このような周産期医療の問題に対応しうる薬剤として期待されております。