株式会社松永牧場 取締役 松永拓磨様 インタビュー

 2020年10月27~30日に東京食肉市場において、令和2年度全国肉用牛枝肉共励会が開催されました。全国から出品された500頭の中から見事日本一の名誉賞に輝きました、島根県の株式会社松永牧場の取締役である 松永拓磨様に今回の受賞や牧場についてのお話を伺いました。
 インタビュー担当は、東亜薬品工業株式会社の西日本支店より湯口と朽木です(2020年11月19日に島根県の株式会社松永牧場にてインタビューを実施致しました)。
 

松永拓磨様
受賞トロフィーと松永拓磨様。おめでとうございます!
※写真提供:株式会社肉牛新報社様 

 ◆ まずは今回の名誉受賞牛についてお話を伺いました ◆
 
─── この度は2度目となる全国肉用牛枝肉共励会名誉賞受賞おめでとうございます!今回の受賞牛はどのような牛だったのでしょうか。
松永様 ありがとうございます。牧場としては5年ぶり2度目の受賞なのですが、前回受賞時に私は飼料会社に勤務していたので、私にとっては初めての受賞でした。今回の受賞牛は千葉県から導入した去勢牛でしたが、出荷時にはこの和牛よりも交雑牛の仕上がりに自信があったので、結果を聞いてびっくりしました。  
─── そうだったのですね。松永拓磨様にとって初受賞となると、喜びもひとしおですね。
 

- 名誉賞受賞牛のデータ -

※写真提供:株式会社肉牛新報社様
和牛去勢/血統[父 百合白清2 母の父 安福久 母の母の父 勝忠平] / 枝肉重量 539kg / 枝肉単価 12,201円 / 等級 A5 / BMS No.12 / BCS No.3 / ロース芯面積 100cm2 / バラ厚 9.2cm

─── 今回の受賞牛は導入牛ということですが、導入する際に重要視した点は何でしたか。
松永様 そうですね、まずは血統ですかね。この業界に入ってから全国的に共励会などで優秀な成績を残している牛の血統には、安福久が入っていることが多いと思っています。この牛いいな、と思って血統を見ると大体安福久が入っているので、結果として安福久の性質が出ている牛が好きなのだと思います。今回の牛も買うときには良い牛だなと思って買いましたが、ここまでとは思っていませんでした。
─── 普段素牛を選ぶときのポイントはやはり血統でしょうか。
松永様 血統と体重が乗りそうかを考え、そのバランスで入札価格を検討しています。育種価はあまり見ませんが多少検討することもありますね。総合的に見て考えるのですが、常に失敗の連続でまだまだ経験不足かなと思っています。
─── なるほど、バランスを見極めるのは慣れた方でも難しそうですね。
 

名誉賞のトロフィーと賞状。

─── 受賞牛について何か印象に残っていることがあれば教えていただけますか。
松永様 実は同時期に他の牛でも散見されていたのですが、出荷の3週間くらい前に血便をしてしまいました。エサ喰いが落ちるとサシが抜けてしまうだけではなく、最悪の場合、共励会どころの話ではなくなって出荷できずに死んでしまう可能性もあります。益田大動物診療所の先生方により治療と共にビオスリーを飲ませていただき、自分たちでもビオスリーエースを給与していました。私の使っている車にもビオスリーエースを載せていて調子の気になる牛がいると給与しているのですが、今回は本当に沢山使いましたよ。
─── ビオスリーとも関連の深い牛だったのですね!いざという時にもお役立ていただき、ありがとうございます。
 
巡回用の車内にもビオスリーエースを積んでいただいていました。  
─── 松永牧場様ではエサとしてエコフィードサイレージを利用されていると聞いていますが、これにはどのようなこだわりがあるのでしょうか。
松永様 平成20年にエコフィードサイレージを製造するプラントが稼働してから、ずっと変わらず牛へ給与しています。主体はおからですが、食品の副産物を利用していて時期によって手に入る物が変わるので、飼料設計を先生方にお願いしています。同グループの他農場でも使用していますが、肥育牛は給与する年数が長く、脂質や肉のうま味にも大きく関わってくるため優先して与えています。
─── 食品副産物の利用ということで、食品リサイクルにも大きく貢献されているのですね。
松永様 実は今年は新型コロナウイルス感染症の影響でフルーツやお酒の需要が落ちたせいか、材料となる副産物が手に入りにくく、春頃は前年の6割程度しかエコフィードサイレージが作れませんでした。今では前年並みに回復していますが、これからも肉の味に大きく関わってくるので安定して給与していきたいと思っています。
 

弊社のサイレート粒状を使用して作られているエコフィードサイレージ。
フルーティーでとても良い香りがします。

─── そのような影響があったのですね。他にもこのコロナ禍で大きく変わったことはありましたか。
松永様 枝肉価格はうちだけではなく全国的に影響がありますが、地元での消費は大幅に減ることは無かったと思っています。また、今回の枝肉価格の低下は転換期でもあったと考えていて、東京食肉市場では今まで取引の少なかった方からも買っていただけるようになってきました。地元では定期的に買っていただけるようになった先もあります。
─── 価格の低下も「皆さんに広く買っていただける」ということに関してはメリットになるのですね。
松永様 そうですね、一度価格が下がった事で購入しやすくなり、うちの牧場の肉の味を実際に知って納得いただけたことで、継続して購入いただけているのかなと思っています。
─── 業界全体が厳しい中だと思いますが、そのような前向きな考え方をされているのですね。
 
屋外で距離も取りながらインタビュー中
 

 ◆続いて、ご愛用いただいているビオスリーについてお話を伺いました◆
 
─── ビオスリーはどのくらい前からお使いいただいているのでしょうか。
松永様 牧場としては20年ほど前からずっと使っていますが、今ではお守りのようなものに感じています。飼料添加の抗生物質を使わないため、肥育では腸管を健康な状態に保ちながら如何に生産性を高めるか、また肉の臭いの問題の解決のためにも全期間ビオスリーエースをエサに混ぜて使用しています。その結果が今まで積み上げてきた販売実績と肉質に表れていると思っています。
─── 長らく継続してご愛用いただき、ありがとうございます。
松永様 私はビオスリーエースを採用する前の時期を知らないのですが、今ビオスリーエースを抜くかと聞かれても、抜くという選択肢はないですね。人間用のビオスリーHi錠も私自身よく飲んでいますよ。
─── そのように評価していただけて嬉しい限りです。
 
お使いいただいているビオスリーエースが積んでありました。
 
─── 現在エサに混合して全頭に給与されていますが、その他で使用いただく場面はありますか。
松永様 先生方にも使用してもらっていますが、私が個別でよく使う時期としては導入時期のストレス対策ですね。乾草の上から振りかけて使用していて、好き嫌いも多少ありますが、やはりよく草を食べてくれるようになります。また、肥育前期にはエサが変わり、エコフィードサイレージが入ってくるのでその時も給与しますね。微生物のために乾草、腸管での良好な栄養吸収を維持するためにはビオスリーエースというイメージです。自家産の牛は育成期からこのエサに慣れており大丈夫なのですが、エコフィードサイレージに慣れていない導入牛は乾草とビオスリーエースなどを使いながら慣れさせていきます。肥育前期の初めの1、2週間に今は一番気を遣って育てています。
─── 個別に牛それぞれの状態に合わせて給与量を増やしていただいているのですね。
 
仲良くエサを食べている牛たちの様子。
    ※写真提供:株式会社肉牛新報社様
 

 ◆ 最後に松永牧場様のブランド牛「まつなが黒牛・まつなが牛」と、これからの目標について伺いました ◆
 
─── 松永牧場様のブランド牛である「まつなが黒牛・まつなが牛」のこだわりについて教えて下さい。
松永様 肉質についてはエコフィードサイレージを使っているので脂の質と肉の甘味が他の牧場と違うことがポイントです。現在は和牛、交雑牛共にグループ牧場も含めた自家産の牛が6割くらいですが、今後は全体で8割、和牛では9割近くになる予定です。そのため、生まれてから出荷までの全治療歴が把握できてJAS規格に適合した牛が増えるので、本当の意味での安心安全を追求できると思っています。
─── 今よりもさらに牛肉の安心安全を追求していかれるのですね。
 
農場入り口の目印となっている看板

 
─── これからの目標があれば教えていただけますか。
松永様 他の取材で「来年も名誉賞を取りたいですか」と聞かれましたが、賞を頂けることは結果であり目標ではないと思っています。これからの目標としては、後継者として先代と比べて悪い意味で変わったと言われないように、安全・安心・美味しい牛肉を作り続けていきたいです。また、スタッフと共に自分たちのカラーの牧場をつくっていきたいと思っています。
─── 若手後継者として、より一層ご活躍されることを期待しております! 本日はお忙しい中インタビューさせていただきありがとうございました。
 
農場内にて、松永拓磨様(右)と弊社湯口(左)で記念撮影。
今後ともよろしくお願いいたします。